150.心の扉

僕はいつしか自分の部屋に
鍵をかけた
ひとりで自分を見つめる
時間が欲しかった
そうして迷い込んだ


まず 自分の部屋の広さに驚いた
とても全てを把握しきれるわけがなかった
でも立ち止まれなかったから
彷徨い始めた


もはやわからなくなった
今どこにいるのか
どれだけ彷徨ったのか
入ってきた扉さえ
見えないところまで来て
僕は諦めた


ある日
僕は彼女と出会った
彼女はあっさりと
僕の部屋の扉を開けた


彷徨っていた僕を探し出してくれた
そして
僕の部屋を
隅から隅まで案内してくれた
僕の知らない場所さえ
彼女は知っていた


彼女が教えてくれたから
僕は僕を見つけられた
心の扉を開け放って
世界の外へと飛び出せた