142.手負いのガンマン

僕はもう君を狙えない
流れゆく血に 沈みかけているから
おそらくもう君には届かない
引鉄に添えた指も震えて動かない




僕はこうして生きてきた
銃を右手に 手綱を左手に
最後に君を撃ち抜いて
途絶えたならば本望だろう




しかし 残った傷は
自分で思っていた以上に
深く 苦しいものだった




もう君を狙えない
仕留めたかったはずの
君に届かない